横浜~鎌倉大仏見物「旅枕」(12)
昨日ホテルの売店で横浜地図を購入した。他にも2,3あったが彩色が綺麗な銅板地図にした。(下図参照)今まで何枚もの絵図や地図を買ってきたが、どれも素晴らしく目を見張るものばかりだ。この絵図も実に、微に入り細にわたって作成されている。
編輯兼発行人:尾崎富五郎
住 所:横浜野毛町2丁目42番地
御 届 日:明治23年3月19日
「今般自ラ市中ヲ細見シ方位道舗町名ノ改正区分ノ境界外国館番号其外トモ三分一丁ノ積リヲ以テ委シク図中二縮シ以テ懐宝二便ナラシム然レド若シ相違ノ簾アラバ御報知是祈早速相改差上奉リ度候」.
以上、尾崎富五郎がこと細かく記述している。
港横浜らしく各国の旗章が載っている。
・大日本・アメリカ・イギリス・フランス・支那
・ベルギー・ポルトガル・テネマルカ・ヲランダ・スイス
・オオストリヤ・ノルウエー・イタリヤ・ホロイセン・イスぺニヤ
・スエーデン・ヲロシヤ・ドイツ・美郵船社・英郵船社
以上20カ国、聞き慣れない国もあり清さんは少し戸惑った。
GRAND STAND
「競馬場一年二春秋四度此所二テ興行アリ廻リ一里八丁」
此処の競馬場で、春と秋の年4回興行される。全周は約4.8キロあり。
横浜に住む外国居留地のレジャー施設の一環として開場された日本最古の競馬場で、慶応2年(1866)建設され、昭和18年(1943)閉場された。
早速競馬場へ急いだ。生憎レースは無かったが、メインスタンドの前で上を見上げると、天を衝くような壮大な殿堂だった。
帰り路、太田村にある東福寺(高野山・真言宗)に立ち寄り、家内や旅の安全を祈願した。
横浜駅発午前10:22→大船駅着10:58→同発11:05→鎌倉駅着11:15
料金 9銭 8銭 計17銭
横浜駅から乗り継いで鎌倉駅に着いた。汽車の時間の都合上、今旅3度目の人力車で
大仏へ向かった。高徳院の社務所で「鎌倉大仏鋳造因由」を授かり大仏の前に立った。余りの座仏の大きさに圧倒された。
鎌倉駅発午後12:04→大船駅着12:12 同発午後1:10
料金 8銭
→静岡駅着5:58 同発6:05→浜松駅着10:52 同発11:05
91銭 48銭
→名古屋駅着11:40 同11:45発→岐阜駅着午前0:32
67銭 19銭 計2円33銭
夜半にやっと岐阜駅に到着した。倅の喜蔵(20)が荷馬車で迎えに来てくれていた。秋の月が夜道を照らし、割と楽に黒野村の自宅に帰ることが出来た。
車中2泊を入れると9日の旅だった。
上記の鎌倉大仏の由来と鎌倉江島名所案内の2件については、和彦雑記で、詳しく記述します。そちらをご覧下さい。
次回は翌年(明治28年)第4回内国勧業博覧会を掲載します。