横浜~鎌倉大仏見物「旅枕」(12)

2016/02/14
 銅板横浜地図を購入

昨日ホテルの売店で横浜地図を購入した。他にも2,3あったが彩色が綺麗な銅板地図にした。(下図参照)今まで何枚もの絵図や地図を買ってきたが、どれも素晴らしく目を見張るものばかりだ。この絵図も実に、微に入り細にわたって作成されている。

編輯兼発行人:尾崎富五郎
住    所:横浜野毛町2丁目42番地
御 届  日:明治23年3月19日

銅板横浜地図(510×370)明治23年3月19日御届

銅板横浜地図(510×370)明治23年3月19日御届

尾崎富五郎の所見 ・ 三分一丁

「今般自ラ市中ヲ細見シ方位道舗町名ノ改正区分ノ境界外国館番号其外トモ三分一丁ノ積リヲ以テ委シク図中二縮シ以テ懐宝二便ナラシム然レド若シ相違ノ簾アラバ御報知是祈早速相改差上奉リ度候」.
以上、尾崎富五郎がこと細かく記述している。

神奈川県下久良岐郡横浜町名表(部分)

神奈川県下久良岐郡横浜町名表(部分)

港内、吉田、野毛戸部、南山手、西太田

上記五ケ所の地域から成り、多くの町内が名を連ねている。又、橋も吉田橋を始めとして図中に全部で36橋を数える。

居留地町名表、諸港海上里程略表、諸港東回り海上里程

居留地町名表、諸港海上里程略表、諸港東回り海上里程

税関まえの大波止場
税関前の大波止場と蒸気船

税関前の大波止場と蒸気船

砲発場(台場)

湾内には多くの船が停泊している。砲発場(台場)は神奈川駅の傍にあり、かつてペリーが来航するとき急遽砲発台が設置された。勝海舟(1823~99)の設計によると伝えられている。

横浜~新橋 汽車賃金表(中央)、砲発場(下部)

横浜~新橋 汽車賃金表(中央)、砲発場(下部)

各国旗章図

港横浜らしく各国の旗章が載っている。
・大日本・アメリカ・イギリス・フランス・支那
・ベルギー・ポルトガル・テネマルカ・ヲランダ・スイス
・オオストリヤ・ノルウエー・イタリヤ・ホロイセン・イスぺニヤ
・スエーデン・ヲロシヤ・ドイツ・美郵船社・英郵船社
以上20カ国、聞き慣れない国もあり清さんは少し戸惑った。

神奈川県下久良岐郡横浜町名表(部分)

世界20ヵ国の旗章図(部分)

横浜競馬場(根岸競馬場)

GRAND STAND
「競馬場一年二春秋四度此所二テ興行アリ廻リ一里八丁」
此処の競馬場で、春と秋の年4回興行される。全周は約4.8キロあり。

横浜に住む外国居留地のレジャー施設の一環として開場された日本最古の競馬場で、慶応2年(1866)建設され、昭和18年(1943)閉場された。

早速競馬場へ急いだ。生憎レースは無かったが、メインスタンドの前で上を見上げると、天を衝くような壮大な殿堂だった。
帰り路、太田村にある東福寺(高野山・真言宗)に立ち寄り、家内や旅の安全を祈願した。

競馬場の拡大図、別名・根岸競馬場

競馬場の拡大図、別名・根岸競馬場

鎌倉大仏(清浄泉寺高徳院)

横浜駅発午前10:22→大船駅着10:58→同発11:05→鎌倉駅着11:15
  料金       9銭          8銭   計17銭

横浜駅から乗り継いで鎌倉駅に着いた。汽車の時間の都合上、今旅3度目の人力車で 大仏へ向かった。高徳院の社務所で「鎌倉大仏鋳造因由」を授かり大仏の前に立った。余りの座仏の大きさに圧倒された。

鎌倉駅発午後12:04→大船駅着12:12 同発午後1:10
  料金       8銭
→静岡駅着5:58 同発6:05→浜松駅着10:52 同発11:05
 91銭           48銭
→名古屋駅着11:40 同11:45発→岐阜駅着午前0:32
 67銭             19銭        計2円33銭

  夜半にやっと岐阜駅に到着した。倅の喜蔵(20)が荷馬車で迎えに来てくれていた。秋の月が夜道を照らし、割と楽に黒野村の自宅に帰ることが出来た。
車中2泊を入れると9日の旅だった。

    

鎌倉大仏鋳造因由(153×370H)明治22年

鎌倉大仏鋳造因由(153×370H)明治22年

相良国太郎編輯 鎌倉江島名所案内

相良国太郎編輯 鎌倉江島名所案内 著者蔵拝(下図参照)
高徳院の社務所で一緒に貰った冊子で、頁数は表紙を入れると13枚である。

神奈川県下久良岐郡横浜町名表(部分)

鎌倉江島名所案内(125×175H)明治15年5月22日発行

ここで一言

上記の鎌倉大仏の由来と鎌倉江島名所案内の2件については、和彦雑記で、詳しく記述します。そちらをご覧下さい。

次回は翌年(明治28年)第4回内国勧業博覧会を掲載します。